1 深夜割増賃金
深夜割増賃金とは,労働時間の長さではなく,労働をした時間帯に着目して,割増賃金が支払われるものです。ここでいう「深夜」とは,22時から5時までの時間帯を指し,その時間帯に働いた労働者については労働時間数にかかわらず(つまり長時間労働していなくでも)残業代として請求ができるのです。
深夜割増賃金については,時間外割増賃金と同じ割増率で2割5分以上と定められています。深夜割増賃金に関しては,時間が割増賃金と異なり,1日の労働時間数や1週間の労働時間数を考える必要がないので,わかりやすいかもしれませんね。
では,深夜割増賃金についても,具体的な例を挙げてみてみましょう。労働条件については,時間外割増賃金についてのコラムと同じ条件で考えてみます。
2 Aさん(所定労働時間8時間)が深夜残業をした場合
Aさんの1日の労働時間は通常時であれば以下のようになります。
9時から12時 |
12時から13時 |
13時から18時 |
通常労働 |
休憩時間 |
通常労働 |
では,Aさんが2時まで仕事をしていたらどうなるでしょうか。Aさんが2時まで仕事を行っていた場合,以下のようになります。
9時から12時 |
12時から13時 |
13時から18時 |
18時から22時 |
22時から2時 |
通常労働 |
休憩時間 |
通常労働 |
時間外労働(残業) |
時間外労働+深夜労働(残業) |
この場合,Aさんは18時までの労働で8時間となっていますので,18時以降の労働時間は時間外労働,いわゆる「残業」として割増賃金を支払う必要が出てくることになります。
そして,22時以降は時間外割増賃金であり,22時以降は深夜割増賃金と時間外割増賃金が重なってくるので,両方の割増賃金が乗っかる形となります。
なお,Aさんが22時以降しか仕事していなければ,Aさんは深夜分の割増賃金のみをもらう形となりますね。
以上が,深夜労働についての基本的な考え方になります。基本的には22時から5時までの間で働いた場合は残業代を請求できるという風にイメージいただければ問題ないでしょう。
また,朝から深夜までの労働の場合は,時間外労働の分と深夜労働の分が重なる時間帯が出てくるので,その点も覚えておくと,残業代について正確な金額が出しやすくなると思います。