1 時間外割増賃金
時間外割増賃金とは,文字の通り,法律で定められた時間を超えて労働した場合に,会社側がお給料に一定の割増した金額を支払わなければならない,というものです。
そして,法律で定められた時間については,労働基準法第37号において定められており,一日8時間,一週間で40時間を超える場合に,割増賃金を支払わなければならないとされています。
また,時間外割増賃金については,1か月の合計時間が60時間を超える場合と超えない場合とで割増率が変わってきます。割増賃金の率については,1か月の合計時間が60時間を超える場合には超えた時間について5割以上の割増,60時間を超えない部分については2割5分以上の率での支払いが法定されています。
文字だけで見ているとなかなかイメージがつきづらいですよね。具体的な例を挙げてみてみましょう。
2 Aさん(所定労働時間8時間,残業なし)の場合
Aさんが働いている会社では,会社が定めている労働時間(これを所定労働時間と言います。)が9時から18時,休憩時間が12時から13時までとなっています。この場合,休憩時間は労働時間に換算されないため,Aさんの1日の所定労働時間は8時間となります。
そのためAさんの1日の労働時間は通常時であれば以下のようになります。
9時から12時 |
12時から13時 |
13時から18時 |
通常労働 |
休憩時間 |
通常労働 |
この場合,Aさんは1日8時間の労働をしていますが,8時間を超えて労働はしていないので残業代が発生することはありません。
3 Aさん(所定労働時間8時間,残業あり)の場合
では,Aさんが午後18時以降も仕事をしていたらどうなるでしょうか。Aさんが21時まで仕事を行っていた場合,以下のようになります。
9時から12時 |
12時から13時 |
13時から18時 |
18時から21時 |
通常労働 |
休憩時間 |
通常労働 |
時間外労働(残業) |
この場合,Aさんは18時までの労働で8時間となっていますので,18時以降の労働時間は時間外労働,いわゆる「残業」として割増賃金を支払う必要が出てくることになります。
以上が,時間外労働についての基本的な考え方になります。基本的には1日8時間を超えた分,もしくは1週間の労働時間が40時間を超えた分については残業代を請求できるという風にイメージいただければ問題ないでしょう。