1 割増賃金における基礎賃金に算入される各種手当
割増賃金の基礎となるお金には,各種手当が算入されるというお話を以前しましたが,今回はその手当についてのお話しです。
大前提として,各種手当はほとんどが割増賃金を算定する際の基礎賃金に算入されるものと考えて頂いて大丈夫です。なぜなら,労働基準法施行規則21条が定めているのは,以下のわずか6項目だからです。
a 残業代計算に含まれない各種手当
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われた賃金
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
上記6項目のうち,住宅手当までの4項目についてはすぐにイメージが出来ると思います。では残りの二つはどうでしょうか?
まず,「臨時に支払われた賃金」ですが,文字だけ読んでもどういう手当か全く想像がつかないですよね。少なくとも私は受験時代中になんだこれ?と思いました。
「臨時に支払われた賃金」とは,臨時,つまり突発的で予期できない,又はそうそう起こりえない例外的な事態について支払われる手当のことを言います。具体的には,けがをした場合の傷病手当,結婚した場合の結婚手当等です。日常的に発生するものではなく,むしろもらうことが稀な手当てというイメージを持っていただければ問題ないと思います。
次に,「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」ですが,これもわかりにくいですね。法律に特有の言い回しだと思います。これに当てはまる代表的なものは賞与・ボーナスでしょう。ほかには,一定期間の勤務態様によって付与される精勤手当,一定期間の勤続年数によって付与される勤続手当などです。こちらは,「臨時に支払われる賃金」よりも身近な分イメージがしやすいかもしれません。
以上が割増賃金における基礎賃金に「算入されない」各種手当です。逆に言えばこれら以外の手当てはすべて基礎賃金に入ると考えて頂いて大丈夫です。