離婚

離婚

 結婚後の事情によって、婚姻関係を継続していくことそれ自体がお客様の幸福追求の阻害となってしまうことがあります。弊所は、離婚に伴う法律問題を処理するとともに、お客様の良き人生の再出発のために適切なアドバイスを提供します。

離婚の種類と手続

協議離婚

 夫婦が財産分与や子どもの親権などの条件について話し合いをし、離婚する旨の合意が成立すれば、離婚届を市区町村に提出することで離婚が成立します。

 柔軟な条件の取り決めが可能であることや、迅速解決につながることから、多くの方がまず始めに検討すべき手続となります。

調停離婚・審判離婚

 夫婦間で話し合いをしたが離婚について合意できない、相手が話し合い自体に応じない場合には、協議離婚の次のステップとして家事調停による離婚をめざします。

 家庭裁判所に調停を申し立て、指定された調停期日に出頭し、離婚の合意や財産分与等の離婚の条件について夫婦それぞれの意見の調整を求めます。

 調停は、無用なトラブルの発生をふせぐため、極力当事者双方が顔を合わせないような配慮がされており、調停委員と呼ばれる裁判所職員が交互に夫婦それぞれと会い、それぞれの意見を聴き取っていくという方法を取っています。

 調停離婚が成立しなかった場合に、家庭裁判所が調停に代わる審判をくだすことにより離婚が成立する場合を審判離婚といいます。

裁判離婚

 調停離婚が成立しなかった場合、家庭裁判所に対し、判決という強制力をもって離婚を実現してもらうという手段を選択することができます。

 ただし、裁判離婚をする場合には、原則として事前に調停手続を経ている必要があり、かつ、民法が定めている離婚事由が認められることが要件となります。

離婚に必要な理由

民法が定める離婚事由

 民法で定められている離婚事由は、

  1. ①不貞行為(配偶者のある者が、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと)
  2. ②悪意の遺棄 (正当な理由なく、同居義務、協力義務、扶助義務などを行わないこと)
  3. ③3年以上の生死不明
  4. ④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
  5. ⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由

 の5つです。

「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とは

 民法が定める離婚事由の①から④がない場合であっても、個別具体的な事情から、婚姻関係が破綻して回復の見込みがない場合には、離婚が認められます。

  DV、多額の借金や浪費などの経済的事情、犯罪、セックスレス、長期にわたる別居などの夫婦関係の崩壊に関連する事情を総合的に判断した上で、裁判所が離婚の判断を下すことがあります。

離婚するときに決めておくべきこと

 離婚するときには、少なくとも次の事項について決めておくべきです。

    夫婦間の子ども(未成年者)に関する事項
  1. ①親権者
  2. ②養育費
  3. ③面会交流
    夫婦間の財産に関する事項
  1. ④財産分与
  2. ⑤年金分割
  3. ⑥慰謝料

 以上のうち、①親権者については、夫婦間に未成年の子どもがいる場合には必ず決めなければなりません。

①親権者

 親権は、未成年の子どもの成長を扶け、またはその財産を管理することを目的として、子どもの福祉の観点から親に認められた権利義務の総称です。

 その内容は、子どもと生活を共にして、子どもが健全に育成するのに必要な監督・養育をする権利(監護権)と子どもの代理人として法的な行為をする権利(代理権)に大別されます。さらに具体的な内容としては、

  • 財産管理権
  • 子どもの法律行為に対する同意権
  • 身上監護権
  • 身分行為の同意・代理権
  • 親が子どもの居所を指定する権利
  • 子どもに対して親が懲戒・しつけをする権利

 などが多岐にわたります。

 婚姻中は、夫婦共同で親権を行使するのが原則ですが、離婚する場合には夫婦の一方いずれかを親権者として定めなければなりません。

 しかし、この親権者の指定については夫婦間で大きな争点となることが少なくなく、大事な子どもに対する親の責任として非常に重要な事柄である反面、紛争の長期化につながるといった点も否定できません。

 夫婦間で協議がまとまらないときは、家庭裁判所において、いずれの親のほうが子どもの健全な育成に適しているか、子どもの福祉に資するかとの観点から、詳細な調査を経て決定されます。

②養育費

 親と子は法律上互いに扶養する義務を負い、この扶養義務は、夫婦が離婚しても子どもとの間で消滅するものではありません。

 このことから、子どもを引き取らなかった親も、子どもに対する扶養義務の一環として養育費を支払うべき一般的義務があるとされています。また、子どもが親に対して養育費の支払いを求める権利は養育費は、審判、訴訟となった場合には、夫婦それぞれの収入資料をもとに、家庭裁判所が適正とする金額で定められることが基本となります。

 一方で、協議や調停の段階では、夫婦間で合意がととのう場合には、金額や支払方法などを柔軟に決めることが可能です。

③面会交流

 離婚のとき、親権者とならなかった夫婦の一方が、子どもと直接会って一緒の時間を過ごしたりすることを面会交流といいます。

 面会交流は、法律上、親の権利として明文で認められているものではなく、子どもの福祉の観点から、片方だけでなく両方の親と接しながら成長することが子どもの健全な育成に資すると一般的に考えられていることから、子どもの権利として認められています。

 そのため、子どもの健全な育成に資さないと判断される場合には面会交流が制限されることもありますし、子どもを監護する側の親が自己の都合で面会交流を拒絶することはできません。

 無用なトラブルを予防するため、面会交流の実施にあたっては、面会交流の頻度や方法について、事前に取り決めておくことが一般的です。

 父母間で協議がととのうことが望ましいですが、そうでない場合には家事調停を申し立て、面会交流の実現を目指していくこととなります。

④財産分与

 夫婦の共同生活の中で構成されてきた一定の共同財産について、離婚の際に夫婦間で分け合うことを財産分与といいます。

 財産分与の対象となる財産は多岐にわたり、現金や預金、不動産などのほか、保険金や退職金も含まれます。

 一方で、財産分与は夫婦の共同財産を分け合う制度なので、婚姻前に取得した財産や相続で取得した財産は分与の対象となりません。

 注意すべき点は、各財産の名義や持ち分割合にかかわらず、財産分与の対象となる財産である以上は、夫婦間でそれぞれ2分の1の割合で分け合うことが原則とされていることです。

 こうした原則を前提に、離婚後の扶養や慰謝料の代替としての側面を想定しながら、当事者の協議で定めますが、協議がまとまらないときは調停、審判によることになります。

⑤年金分割

 離婚等をした場合に、離婚する夫婦の一方からの請求により、婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を夫婦間で分割することができる制度です。

 とりわけ、婚姻期間中に夫婦の一方が専業主婦(主夫)であるような場合、その内助の功を年金の納付実績にも反映させるという点で意義のある制度といえます。

⑥慰謝料

 離婚の原因が夫婦の一方の不貞や暴力など、片方の責めに帰すべきものであった場合、これによって離婚を余儀なくされた配偶者には、相手に対して慰謝料請求が認められます。

 実際にどれだけの慰謝料が認められるかは個別具体的に判断されるため、金額について画一的なルールがあるわけではありません。

 離婚原因や有責行為の種類態様、婚姻期間の長短、年齢、性別、婚姻生活の実情、婚姻中の協力度、双方の収入の程度、未成熟児の有無、財産分与の額など、諸般の事情を勘案して決せられることとなるので、相手の行為がどれほどの悪影響を婚姻生活に与えたのか、あるいは与えなかったのかを説得的に論じていく必要があります。

婚姻外の交際関係に関する慰謝料請求

 男女間に婚姻関係がない場合でも、その交際関係の中で、一方が他方の権利利益を侵害し、精神的な苦痛を被らせたときには、慰謝料請求が認められるケースがあります。

不貞行為の相手方に対する慰謝料請求

 不貞行為(配偶者のある者が、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと)があったとき、その夫婦間で慰謝料の問題が生じることは上に述べたとおりですが、不貞行為をされてしまった当事者は、自分の配偶者と不貞行為に及んだ相手方に対しても慰謝料請求できる場合があります。

 これは、不貞行為に及んだ二人が、共同して婚姻関係を破綻させ、当事者に精神的苦痛を被らせたといえるからです。

 こうした請求を実現するためには、何よりも相手方の素性を特定することと、不貞行為があった事実について証明できるような証拠を確保することが重要です。

 他方で、自分が不貞行為に及んだとして、こうした請求がされてしまった場合には、そもそも不貞行為が存在しないことや、交際相手が既婚者だという認識がなかったこと、交際時にはすでに請求者の夫婦関係が破綻していたことなどを反論として主張していくことが肝要といえるでしょう。

貞操権侵害に基づく慰謝料請求

 交際相手が実は既婚者であったにもかかわらず、そのことを隠されたまま交際し、性的関係を結ぶに至った場合には、貞操権を侵害されたものとして、これによって被った精神的な苦痛について慰謝料請求できる場合があります。

 相手から既婚者であることを隠されていた場合のほかにも、全く結婚するつもりがないのに結婚を約束していたケースや、相手が既婚者であるという認識があったときでも相手側の違法性が著しく大きいようなケースでは同じように慰謝料が認められる可能性があります。

その他の慰謝料請求

 上に述べたケース以外でも、事情によっては慰謝料請求が認められる場合があります。

 男女交際のなかで、一方的に不合理な損害を被ったとき、交際解消後に相手から不当と感じられる請求が来たときは、自分だけで抱え込んでしまわないでお気軽にご相談いただければ幸いです。

弁護士費用

任意交渉

着手金 20万円~
報酬金 経済的利益の10%~

※事案に応じて異なりますのでお気軽に弁護士までお問い合わせください

裁判手続

着手金 30万円~
報酬金 経済的利益の10%~
日当 1万円~/回

※事案に応じて異なりますのでお気軽に弁護士までお問い合わせください